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Guild Vol.02 福永紙工 / Tokyo

紙製品のプラットフォーム。
工場とクリエイターの協働スタイルとは

Guild|2020.10.09 up

muracoの製品は自社で作られるものだけではありません。アウトドア分野に限らず優れた製品を生み出す、確かな技術を持った工場・技術者と共に商品開発を行っています。”Guild”では、そういったものづくりにおけるパートナーにスポットを当てていきます。

Vol.02は、muracoの製品パッケージの製造を担う「福永紙工(ふくながしこう)」をご紹介します。厚紙の印刷・加工を得意とする創業50年超の老舗工場ですが、近年は「かみの工作所」「テラダモケイ」「空気の器」などのオリジナル製品が人気を博しています。新規事業立ち上げの経緯から、クリエイターとの協働のスタイルについて、代表取締役社長の山田さんと営業の渡邊さんに話を聞きました。

Text : 森玲音
Photography : 村上卓也

山田明良 / 福永紙工株式会社 代表取締役社長

アパレル業界を経て義父が経営する福永紙工に入社し、のちに代表取締役社長就任。紙を加工・印刷してできる道具の可能性を追求するプロジェクト「かみの工作所」を立ち上げ、外部のクリエイターと共に紙製品の開発・販売に取り組んでいる。

渡邊哲哉 / 福永紙工株式会社 営業本部 企画室

福永紙工の営業としてmuracoのパッケージ開発に共に取り組む。休日は息子と釣りを楽しむアウトドア好きでもある。

福永紙工本社ショールーム。工場を連想させる木製パレットに、所狭しと商品が並べられている。

福永紙工にクリエイティブな要素を持ち込みたかった

– 福永紙工といえば『かみの工作所』『空気の器』『テラダモケイ』などのデザインプロダクトが有名ですが、元々はどのような事業を運営していたのでしょうか?

福永紙工株式会社 代表取締役社長 山田明良さん

山田1963年の創業から50年以上、紙の印刷と加工の会社をやっています。紙の箱屋さんですね。大手紙製品メーカーの下請けとして名刺のパッケージなどをつくっていました。特定の会社が受注の7〜8割を占めていましたね。実際のクライアントは3つ先にいて会ったこともないということも多かったです。

– いわゆる「下請けの町工場」といった感じでしょうか。山田社長はどういった経緯で入社されたのですか?

山田妻の実家なのでサポートするために入社しました。私は2代目社長になります。入社して最初は大手メーカーの営業を担当をしました。まずは偉い人達とゴルフができるように練習したり銀座に飲みに連れて行かれたり、そういう感じだったんですね。それでも仕事をたくさんいただいていたので、それはそれでいい時代です。「中小企業が下請けを脱却」とか言いますけど、仕事はたくさんあるうちは楽だしそれでいいんですよね。90年代は常に工場の機械が動いていたんですが、それも2000年代に入ってネットで発注できるサービスが台頭し始めたり、ジリジリと仕事が減っていきました。昔はこの辺にも5,6件印刷会社があったんですが今では残っているのはうちだけです。

– そういったことへの危機感が『かみの工作所』スタートのきっかけになっているのでしょうか?

山田そうですね。でもそれは建前で(笑)。 それだけではなくて、私は元々ファッション業界で仕事をしていたのでめちゃめちゃ機械音痴で、作業着に軍手で仕事するっていってもできないなって(笑)。 印刷業界の営業体質もしっくり来なかったので。私はアートやデザインが好きだったのですが、当時の福永紙工にはアートやデザインの要素はゼロだったのでクリエイティブな部分を持ち込みたかったんです。

立ち上げはスモールスタート・スロースタート

– 立ち上げ当初のクリエイターとの繋がりはどのようにつくったのでしょうか?

山田2005年ごろ、国分寺で文具店を始めた萩原修さんというデザインディレクターの方とたまたま近所で知り合い意気投合しました。彼は地域とデザインを結びつけることに関心があったので、お手伝いいただくことになりそれから10年くらいは一緒にやっていました。『かみの工作所』は「今ある設備と技術で何ができるか」という考え方で、スモールスタート・スロースタートで始めました。萩原さんの繋がりのある何人かのデザイナーに工場見学してもらって、試作を重ねてはお披露目するのをクラブ活動的にゆるくこっそりとやっていました。それが好評で、じゃあ本格的にやってみようかと。

– 『かみの工作所』は今では膨大な商品数がありますが、初めからここまで増やすつもりだったのでしょうか?

福永紙工の代表的なブランドである『かみの工作所

山田いえいえ、もうなんかノリですね(笑)。

クリエイターのアイデアに対して「やらない、できない」とは言わない

– クリエイターはどのように選定しているのでしょうか?

山田基本的には、僕らが一緒にやりたいと思えるクリエイターにオファーを出しています。面白い活動をしていたり、面白い作品をつくっている人に声をかけます。紙製品といえば一般的にはグラフィックデザイナーの領域ですが、それ以外にもインテリアデザイナーやプロダクトデザイナーや建築家、アーティストなど、様々な分野のクリエイターと共にものづくりをしています。クライアントとして依頼するというよりは一緒につくるというスタンスですね。紙という従来の既成概念を取っ払ったような実験的な取り組みをしています。クリエイターが混ざって一緒に打ち合わせをして、テーマは例えば「色」とか「ゲームつくって」とか、その都度ざっくりと決めています。

– オファーを出すんですね。アイデアによってはつくるのが難しいこともあるのでは?

山田クリエイターのアイデアに対して最初から「やらない、できない」とは基本的に言いません。ある程度量産して商品化できるもの、という縛りはありますが、まずはやってみる。僕らがやりたいと思って声をかけた人達なので。商品にはクリエイターの名前をクレジットし、売上に対してロイヤルティーを払っています。デザインしてもらって終わりではなく、販売のフェーズでもトークイベントに出てもらったり、作品発表を一緒にやるという感じです。

つくるだけではなく、売る力も必要

– 福永紙工の製品は全国のミュージアムショップや雑貨店など非常に多くの場所で目にします。POP UP STOREも多く開催していますね。

山田ルーティンがあるわけではありませんが、いろいろなところから声かけてもらうので年間60~70回はPOP UPをやります。声をかけてもらったら断らないというスタンスでやっています。

– 21_21 DESIGN SIGHTやSPIRAL MARKETなど、非常にセンスのよいショップで開催している印象です。

ミュージアムショップでのPOP UPも多い。

山田ステータスのあるいいショップに商品が取り扱われていると、そこから他のショップにも拡がっていきますから。そしてそういう店に置き続けてもらうには、その店がやってるイベントにしっかり顔を出して挨拶したり、そうするとその場で他のクリエイターさんと仲良くなれたり、また次の仕事に繋がります。そうやってクリエイティブなイベントには足繁く通ったり、キーマンとなる人にきちんとコンタクトをとることを大事にしています。元々イベントに行ったりいろいろな人と知り合うのが好きなんですけどね。

渡邊山田社長はいろんな所に行って輪を広げていて、社長であると同時にトップ営業マンだと私は思っていますね。

山田この10年くらいで、工場が始めたブランドをたくさん展示会で見てきましたが、その多くがフェードアウトしていっています。紙関係の工場が始めたブランドもありましたが今はほとんどなくなっちゃいました。続くか続かないかの違いは何かというと、やはり売る力っていうのは重要で、売れないと続けられません。製造業者はつくるのが得意だからつくっちゃうけど、そこから販売をするのはハードルがあるんでしょうね。

– 「売る力」という言葉が出ましたが、面白いことをやっていれば自然と売れる、人が集まるというわけではないんですね。

山田そんなに甘くはないです。やっぱり売る力というのは大事で、売り方にもセンスが必要です。しかしそれは「どうか買ってください」というのとは違って、お客さんが向こうから来てもらうにはどうするべきかを考えています。今は昔みたいに営業回りして仕事をとることはしませんね。いい場所でPOP UPを数多くやっているのも、お客さんが自然とやってくる状況を生み出すためです。

– 立川のGREEN SPRINGS内のショップ「TAKEOFF-SITE」の運営もスタートしたということですが、調子はいかがですか?

立川にオープンした複合施設GREEN SPRINGS内の「TAKEOFF-SITE」の運営を担当。福永紙工が企画製作してきた全製品を取り揃えている。

 山田まあコロナで出鼻をくじかれましたけどね。今ではちょっとずつ人も来るようになってきました。売り上げもちょっとずつ伸びてきています。POP UPの経験は多くあるのですが、実は常設店舗の運営は初めてで、ここは福永紙工の全製品を取り揃えている唯一のショップです。多摩地区の製品やお取引のある会社の製品も取り扱っています。

自社商品の開発で培った経験値

– ここまで話を聞いていると、福永紙工はクリエイターとの取り組み方に独自性があると感じますが、製造の上での強みはどこにあると考えていらっしゃいますか?

福永紙工 営業本部企画室 渡邊哲哉さん

渡邊難しそうな加工を「こういうのつくれる?」と製造現場の人間に持っていくと最初は嫌がりはしますが、できることが多いですね。営業ができないと思っていてもいざ現場に持っていくとできちゃう。今では様々な製品をつくってきた経験値がありますので。代案の提案もできますし、全くつくれないということはないです。

山田やはりクリエイターの要求に見合った技術力がないとマズイですからね。設計の力はすごいあると思います。それにこういうことをやってると日本中の面白い加工ができる印刷会社さんから声をかけてもらうので、うちの機械でやれないことも同じ業界のネットワークで対応できるんです。面白い加工技術を持っていてもクリエイターとの繋がりが無かったり関わり方がわからない工場は多いので、そういう工場とうちが一緒にやることで実力をさらに引き出せることはあると思います。

ブランドというよりは、紙製品のプラットフォーム

– 下請け中心だった小さな町工場が自社ブランドを立ち上げるとなると、カッチリと世界観を統一した単品商品のブランド、というのが常套手段かと思うんですが、福永紙工の場合は違うように感じます。

山田ブランドというよりはプラットフォームとして考えています。クリエイターと一緒に既成概念を壊すようなチャレンジができる場所でありたい。最初の10年くらいは『かみの工作所』や『TERADA MOKEI』というブランド名やクリエーターの名前を出してやってきて、クリエイティブ系の人には知られるようになってきました。ここ2,3年は「福永紙工」という名前を意識的に前に出しています。ただのデザインブランドではなくて、「東京立川でやってる印刷加工工場」だということを知ってもらって、クライアントワークにつなげようという考えです。それによって新しいプロジェクトだったり、安さ重視ではなくてしっかりいいものを作りたいというお客様と繋がりたいと思っていますし、実際にそういうお客様は増えていると感じます。

– 確かにうちが福永紙工にお願いしたのも「いいパッケージが作れそう」という期待感からです。

福永紙工に製造を依頼しているNORTHPOLE FATシリーズのパッケージ

渡邊「何かいいものができないか」という期待値が高いところからお声がけいただくので、営業としてはとても仕事がやりやすいですね。安いからではなくて、一緒につくっていくというスタンスでできるので。

山田そういった仕事はほぼ直取引が多いですね。下請けの下請けみたいな感じではなく。お客さんと一緒にワイワイつくっています。有名なIT企業と取り組んでいるプロジェクトもあります。紙とは一番関係がなさそうな人たちですけどね(笑) クリエイティブチームの人の中にうちの製品のファンがいたみたいです。

あえて会社を小さいまま、少数精鋭のチームに

– 新しい取り組みや今後の展望について教えてください。

山田5年前から、若いデザイナーや学生と一緒に新しいコミュニケーションとなるような紙製品を追求するため、「ペーパーカードデザインコンペ」という取り組みを始めています。あとは「TAKEOFF-SITE」の店舗運営なんかも新しい試みですね。

ペーパーカードデザインコンペ 2020

山田会社を大きくするつもりはなくて、印刷の設備も減らして少数精鋭のチームにしようと思っています。特別な案件だけをやるような。これまで紙の印刷・加工だけで食べてきたのを、その前段階である企画・開発や、後段階である販売・ブランディングもやっていくようするつもりです。

– 印刷設備を減らすのは驚きました。それで仕事が減ってしまうかもという不安はないんでしょうか?

渡邊あんまり私は不安視していないです。うちの強みである設計力は変わらないし、加工・組立の工程は残ります。間の印刷工程が抜けて外注に出しても、うちがやることはそんなに変わらないので。

山田そうそう。得意なことだけやるとか、好きなことだけやるっていうふうにしたい。あとは、僕も歳だからね、もうそろそろ引退です。次の世代、若い人達にどうつなげていくかがテーマですよね。出しゃばらずに次の人たちがやりやすいようにするのが大事だと考えています。

紙製品のプラットフォーム。
工場とクリエイターの協働スタイルとは
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