Product Story Vol.05
フィールドでさりげなくその存在を知らせること”PEG MARKER CONE”
muracoのプロダクト開発に焦点を当てる”Product Story” 。今回のプロダクトはキャンプにおける安全性を考え作られた 「PEG MARKER CONE / ペグマーカーコーン」。開発のきっかけから、デザインや素材選択のポイントをご紹介します。
Text : 後藤大輔
Photography : 村上卓也
1988年生まれ。大学院卒業後、インテリア業界で調理器具やテーブルウェアなど生活用品のデザインを経験し、2018年にmuracoへ。商品企画から設計、付随するグラフィックデザインまで手がけている。アウトドア用品の枠に囚われず様々なカルチャーをヒントにすることを心がけている。
ペグのつまずき問題
キャンプをする上でロープとペグは欠かせない道具。タープやシェルターを設営するにはもちろん自立式テントの固定にも必須と言えるでしょう。ロープが放射状にピンと張られた様子には独特の美しさがあるのではないでしょうか。しかし、キャンプ中にロープに気づかず引っかかったり、ペグにつまずいた経験は誰もがあるはず。そういったmuracoスタッフの経験とユーザーの声から、「PEG MARKER CONE / ペグマーカーコーン」の企画はスタートしました。目指したのは、ペグ・ロープの存在を認識しやすくして引っ掛かりを軽減しつつ、なおかつテント・タープの美しい張り姿を邪魔しないプロダクトです。
まず思いついたのは、サッカーなどのスポーツのトレーニングで使われるマーカーコーンのようなプロダクトです。マーカーコーンをペグに被せることで、ペグやロープの存在を認識しやすくできると考えました。そこで、マーカーコーンを作っている中国の工場を探し出し製造を依頼することになりました。工場は既製品を多く持っていましたが、キャンプシーンにおける理想の形状を追求するために、オリジナル形状で金型から開発することになりました。
ロープの緊張感を邪魔しない形状
マーカーコーンといえば一般的には円錐形状ですが、あえて背の低い三角錐形状にしました。これは、ピンと張ったロープの緊張感を邪魔しないような形状を意図しています。スポーツ用のマーカーコーンやいわゆる三角コーンのような形状では、どことなく締まりがないよう感じたためです。また三角錐形状にすることでより強度が出てペグに体が当たった際にも衝撃を軽減したり、収納の際のデッドスペースが減りケースへの収まりもよくなりました。
地面の環境によらず昼も夜も視認しやすい色とは?
その存在を認識しやすくするには、しっかりと視認しやすい色を考える必要がありました。まず候補に上がったのは蓄光素材を混ぜ込んだ樹脂です。蓄光素材とは、明るい環境下で光を蓄え、暗所で一定時間光を放出する顔料のこと。しかし実際にフィールドでテストをしてみると、蓄光樹脂だと夜間は発光して目立つものの、昼間は芝生や砂利に馴染んでしまい視認しにくいことがわかりました。一方で、真っ白い樹脂であれば昼夜問わず光を反射し、土・芝・砂利など様々な地面でも視認しやすいことがわかり、ホワイトの樹脂を採用することにしました。
1セット10個入り
オクタタープのような8角形のタープには、基本的には10本のペグが必要になります(ポール使用箇所には2本)。PEG MARKER CONE / ペグマーカーコーンは10個入りなので、1セット購入すればオクタタープで使用するペグ全てに被せられることになります。ピッタリときれいに重ねられるので小さく収納でき、付属のストラップでまとめておくことができます。
お子様と一緒にキャンプを楽しむ方やロープへの引っ掛かりに困っていた方は、キャンプの時間を安心して楽しむためにぜひ使ってみてはいかがでしょうか。