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Guild Vol.05 みちのくファーム

愛犬に最高のおいしさを提供するために

Guild|2023.11.03 up

muracoの製品は自社で作られるものだけではありません。アウトドア分野に限らず優れた製品を生み出す、確かな技術を持った工場・技術者と共に商品開発を行っています。muracoジャーナルのGuildコーナーでは、ものづくりにおけるパートナーにスポットを当てていきます。

Vol.05は、Grisのフリーズドライおやつの製造を手がける「みちのくファーム」をご紹介します。全国の愛犬家たちから愛される犬用おやつの専業メーカーです。無添加の新鮮な犬用おやつにこだわる、そのものづくりに迫りました。

Text & Photography: 森玲音

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櫻井誠 / みちのくファーム

みちのくファームのEC運営やイベント、海外取引を担当する。愛犬のミニチュアダックフントのポコと一緒にキャンプに行く事が趣味。自社商品の「みちのくソフト」愛用。

坂根亜希子 / みちのくファーム工場長

みちのくファーム島根工場の工場長。大阪で働いていたが9年前に地元である島根へUターン。設備導入から生産計画、食材の加工まで、みちのくファームの製造を担う。

muracoの拠点である埼玉県狭山市の隣に位置する飯能市(はんのうし)。
ここに新鮮な犬用おやつで人気の「みちのくファーム」 の飯能本店があります。
お店にお邪魔して、犬のおやつづくりのこだわりと美味しさの秘密について伺ってきました。

 

圧倒的な品揃えの飯能店。試食を通じたコミュニケーション。

取材した飯能店の店内には、犬のおやつが所狭しと並んでいます。パッケージを見てみると、豚や馬・魚・チーズなど、食材も加工方法も様々です。ここは一体どんなお店なんでしょうか。

「犬同伴でご来店いただいたお客様には必ず試食をしてもらい、硬さやサイズ感などを納得してから購入してもらいます。愛犬の食の悩みをスタッフと一緒に解決するというスタンスで運営しています。」

そう語るのは、みちのくファームのEC運営やイベント出展を担当する櫻井(さくらい)さん。

みちのくファームの櫻井さん

美味しいおやつが食べられると場所だと覚えた常連わんこは、お店が近づくと車中で寝ていても気が付いて、急に起き上がることもあるそうです。

みちのくファームのinstagram。おやつを頬張る犬の可愛い様子が見られます。

「あくまで犬用のおやつですが、人間も食べられる食材・品質で作っていますので、飼い主の方に試食してもらうことも多いです。」

ところでみちのくとは東北地方のことを言いますが、創業者の金野さんによると、創業時には東北の素材を使って食品メーカーに製造を委託し販売していたことに由来するようです。

 

全国で愛される美味しさの秘密は

みちのくファームのおやつは一見すると普通のジャーキーのようにも見えますが、その食材のチョイスや作り方はとてもユニークです。

普通のジャーキーかと思いきや、なんとこれは馬のペニスのジャーキー。噛みごたえがあるそうです。

ユニークなおやつづくりを続けられている秘訣は、一体どこにあるのでしょうか?

「およそ10年ほど前、製造委託先である島根県の工場から、会社を買い取って欲しいというオファーをいただきました。製造業に挑戦することに不安はありましたが、製造から販売までを一貫して手掛けられることに魅力を感じ、二つ返事でM&Aを敢行しました。お店で試食したお客様や常連様のお客様の声を聴き、アイデアを膨らませ、販売と製造が連携して原料を探し、それを試作し、商品化しています。」

みちのくファームのおやつの美味しさには、お店でのお客さんとのコミュニケーションだけでなく、どうやら島根工場の存在が欠かせないようです。百聞は一見にしかず。みちのくファーム島根工場へと向かってみましょう。

 

目の前が日本海。みちのくファームの島根工場へ

みちのくファーム島根工場の目の前の風景。綺麗な日本海が広がります。

出雲空港から車を走らせること約50分。住所どおりの場所に向かうと、そこには漁港のある日本海の景色と、小さな工場がありました。
みちのくファーム島根工場の工場長、坂根 (さかね) さんに工場を案内していただきました。

島根工場の工場長の坂根さん

みちのくファームの島根工場は、海の強風が屋内に入ってくるほど古かった旧工場を、2019年に建て直しして再スタート。室外機は全て塩害仕様になっているそうです。

 

食材加工への細やかな気配り。手作業での加工技術
いよいよその製造現場へ。
手をよく洗い白衣を着て調理部屋へ入ると、数人のスタッフさんたちが手を動かしていました。

まずは素材である肉のカット工程です。スタッフさんが並んで、手際よく包丁で何かを捌いています。
近づいて手元をのぞいてみると、捌いていたのはなにやらスジ状のもの。

見た目がちょっとグロテスクな馬のアキレス腱。人間用の食材として流通している国もあるそう。

「これは、馬のアキレス腱なんですよ」
なんと、馬のアキレス腱は食べられるそうです。非常にハードな噛みごたえで愛犬が長くカミカミできる、人気のおやつです。

脇には常にメジャーが置いてあり、カットした長さを確認できるようになっている。

しかし、犬はスジについた脂肪や膜も気にせず食べられるはず。なぜわざわざ取り除くのでしょうか。

「乾燥すると、脂肪分は黄色くなってしまったり、スジは白い糸がくっついたように見えてしまいます。食べるのは犬ですが、おやつを選んで購入するのは飼い主である人間です。人間が見ておいしそうだと感じる見た目も重要です。」

乾燥するときれいな飴色に。人間の食欲もそそります。

不要な部位を丁寧に取り除くことで見た目を良くし、愛犬が食べやすいサイズに長さを切り揃えていく。この丁寧な手作業が、みちのくファームの最大の特長と言えるでしょう。

「機械を多用し、肉・魚などのすべての原料を跡形もなく挽いてしまい、成型した商品を作る方が会社には効率がよいかもしれません。しかし、お客様からは原料そのままの混じりっけ無しの素材感のある商品を褒めていただく事が多くあります。手作業の加工により、お客様に安心感をもっていただけているのではないでしょうか。また、犬の大きさは様々です。食べる量も購入する量も異なります。お客様のニーズに対応していくうちにこのような形になりました。」

島根県ならではの新鮮な食材

みちのくファームの特徴といえば、多様な食材。入荷したての新鮮な食材を、いくつか見せてもらいました。

近くの漁港で獲れた新鮮なきびなご
近年人気の高級魚のどぐろ

「のどぐろは、漁師さんも自分で食べたいほど美味しい魚です。大きくなるにつれて脂が増えるので、脂と糖分が大敵であるフリーズドライには難しいのですが、犬に美味しさを味わって欲しいと思い、小ぶりのサイズにすることで商品化しました。」

島根県のブランド豚の石見ポーク

「石見ポークは島根の特産品。柔らかくクセがない味で、脂身はほんのり甘く美味な豚肉です。犬用として脂の少ない赤身だけを選び、こだわりの薄さでじっくり低温乾燥で仕上げました。」

なぜ、これほど様々な食材を揃えられるのでしょうか。

「ここ島根県大田市は一次産業(農業・漁業・畜産業など)が盛んです。『島根県のこんな原料が手に入らないかな』となれば、地元従業員たちのネットワークを使って、新鮮な食材を入手できます。この自然の恵みを有効利用して食材を仕入れておやつにするのもみちのくファームの強みなんです」

「ここまで原料にこだわっているメーカーは他にありません。素材の美味しさをそのまま味わっていただくという事は素材のチョイスが非常に重要です。また、作り置きをせずに、製造してすぐに出荷しているので新鮮な食材をお届けしています。」

 

防腐剤や保存料を一切使用しないこだわりの加工。

みちのくファームのおやつは、防腐剤や保存料を一切使用していないそうです。素材に含まれる水分を徹底的に抜き、しっかり乾燥させることで品質が保っています。十分に乾燥させるので、硬めのおやつがメインとなるそうです。
乾燥の設備を実際に見せてもらいましょう。

・エアドライ
エアドライは低温の風で数日かけて乾燥させる方法です。殺菌するために、高温乾燥も必ず行いますが、時間を最小限にする事で風味や色味がしっかり残るように工夫しています。

エアドライの機械から食材を取り出している様子。瑞々しかった肉が乾燥して縮んでいます。

・フリーズドライ
フリーズドライとは、庫内を低圧にすることで沸点を下げ、食材から水分だけを取り除く技法です。とても高価な機械ですが、特殊ゆえに故障も少なくないそうです。

巨大なフリーズドライの機械。庫内を低圧にすることで水分を蒸発させる。
馬肉をフリーズドライの機械から出した直後
若鶏ささみをフリーズドライした場合のビフォーアフター(左:フリーズドライ前 右:フリーズドライ後)

「シニア犬や硬いものが苦手なわんこにも美味しさを味わってもらうために、幅広いニーズにお応えしたい弊社にとってはとても大切な機械です。」

日本で犬用のフリーズドライ製品を製造しているメーカーは極めて少ないそうです。

・レトルト加工
レトルト食品とは、気密性及び遮光性のある釜で加圧加熱殺菌を施した食品のことです。
みちのくファームでは、新たに機械を導入してチャレンジしている肝入りの加工方法です。

真空包装した上で殺菌加工される
新しく導入したレトルトの機械。真空包装とレトルト加工する事で殺菌された上に空気に触れず保存出来るメリットがあります。

「うちの設備だから作れる新ジャンルのレトルトを開発しました。常温保存可能なのでキャンプにもおすすめです。何より風味が閉じ込められているので、食いつきは間違いないと思います。」

 

なぜ犬のおやつを作り続けるのか?

ここまでみちのくファーム飯能店と島根工場の取材を続けてきたことで、みちのくファームの強みがわかってきました。しかし、なぜここまで犬のおやつづくりにこだわり続けてこれたのでしょうか。
みちのくファーム社長である金野さんからその回答をいただけました。

「犬にとって長く健やかに過ごすためには、良質なタンパク質を摂取する事が大変重要です。近年は人と同様に犬のアレルギーが問題となっていますが、その問題の根源は人によるもの。犬用の食品を作るのも買うのも人間です。コストパフォーマンスを重視するために安価な添加物を使用した、ビジネス都合の商品が多くあるのも事実です。
みちのくファームは、家族の一員である犬の健康と長寿の一助となるためおやつを作り続けてきました。」

「大事にしていることは、お客様からの声に耳を傾けること。その言葉を基にカットの仕方やサイズ感、新しい素材の導入など、新商品開発に反映させています。振り返れば、目先のことを懸命に取り組んできた、ただそれだけ。そのような日々の積み重ねが現在に至っているのだと思います。」

犬の健康を願っておやつづくりを続けるみちのくファーム、ぜひお店で試食してみてください。

Grisではフリーズドライシリーズを販売しています。

愛犬に最高のおいしさを提供するために
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