Guild Vol.03 宮野園 / Saitama
明治二年創業宮野園。茶匠宮野に聞く狭山茶の魅力とは
muracoの製品は自社で作られるものだけではありません。アウトドア分野に限らず優れた製品を生み出す、確かな技術を持った工場・技術者と共に商品開発を行っています。”Guild”では、そういったものづくりにおけるパートナーにスポットを当てていきます。Vol.03では、muracoと同じ狭山市の宮野園をご紹介します。宇治茶・静岡茶・狭山茶と「日本三大銘茶」で知られる狭山茶の製造販売を手掛ける『宮野園』5代目、宮野圭司さんに狭山茶の魅力、muracoオリジナルブレンドの狭山茶について伺いました。
Text : 後藤大輔
Photography : 森玲音
明治2年創業『宮野園』の5代目。埼玉県狭山市に生まれ育ち、18歳から家業を継ぐ。コミュニケーションツールとしての日本茶の素晴らしさを後世に伝えていくことを目指している。 日本茶インストラクター / 日本茶普及協会茶育インストラクター / 全国茶商工業協同組合連合会認定 茶匠
宮野園の歩み
– 宮野園の歴史を教えていただけますか?
宮野 元々は農家として野菜やお茶を作っていましたが、明治2年に東京の神田にお店を出したのがきっかけでお茶だけで生計を立てるようになりました。
宮野その後、昭和3年に宮野園茶店として狭山に開業し今に至ります。私は高校卒業後に予備校生活を送っていましたが、早いうちに働くのもありなんじゃないかと思うようになり、茶の道に入り5代目として18歳で家業を継ぎました。小さい頃から手伝いでお茶を摘んでいましたので、いつか継ぐだろうなとは思っていましたね。
手で触れ、香りを感じ、色を見る
-狭山茶の特徴と新茶について聞かせてください。
宮野 狭山茶は肉厚な葉が実り甘く濃厚でコクのある味が特徴です。静岡は年4回、鹿児島は年4〜5回収穫するのに対して、狭山では年に4月と6月の2回のみです。他産地に比べ北に位置するため気温が低く、収穫できる回数が少ない代わりに肉厚に育ちます。桜が早く咲いた年はお茶も早くつめるので、鹿児島などの様子を見ながらつみごろを毎日チェックしています。桜の開花時期が茶の収穫時期の目安になります。今年は気温が高く味が優しいのが特徴ですね。お茶の摘み取りに関しては1年に2回、春の1番茶と夏の2番茶時期に摘みます。仕上げから加工、ランク分け、値段付けなど手間のかかる作業の連続です。何百種類もあるお茶の原料をどう選んでいくかが腕の見せ所ですね。
muracoブレンドの楽しみ方
-muracoとはどういう経緯で出会ったのでしょうか?
宮野村上さんがmuracoを始めてすぐの頃でしたか、市役所の方の紹介で一度お会いしたのがきっかけでしたね。muracoの出展したアウトドアイベントでワークショップのお手伝いをしたり、直営店(FACTORY BRANCH)がプレオープンをした際に、来場されたお客様に抹茶ラテや緑茶などをいれたりと、ご一緒させていただいております。その際に、いずれmuracoのお茶を作りたいねとずっと話してました。少し時間は経ちましたがようやくmuracoさんをイメージして作ったオリジナルブレンドのSHARP BITTER / シャープビターとRICH SWEET / リッチスイートが完成しました。
– muracoブレンドの特徴と、おすすめの飲み方があれば教えていただけますか?
宮野”RICH SWEET” / リッチスイートには、最高品質の玉露をブレンドしました。muracoさんは”高品質”や”こだわり”というイメージが強かったので、本当にいいものを求めるユーザー様に向けて作りたいと思っていました。飲み方は、一煎目は茶葉の上に氷を置いて溶けるのを待って、そうすると玉露の良さである旨味だけを味わうことができます。二煎目はお水を入れてさっぱりとした爽やかな感じで飲むことができます。かなりいい茶葉なので 飲み終わった茶殻はご飯に混ぜて茶飯にしたり、水を切ってオリーブオイルと塩胡椒混とパスタに絡めてジェノベーゼのように食べると美味しいですよ。キャンプの際にも玉露でリラックスしていただきたいですね。
宮野”SHARP BITTER” / シャープビターは、まろやかな味わいが特徴の「狭山香」と、甘味と渋みのバランスの良い「やぶきた」をブレンドしました。こちらも高品質なのは変わらないですが、どう淹れても楽しんでいただけるようにブレンドしています。熱湯で淹れて渋み・苦味を出しても良いですし、冷ました湯で淹れると甘味も楽しめるようになっています。非常にバランスのとれた仕上がりです。
-狭山火入れ
-狭山茶の加工で特徴的な部分を教えてください
宮野一番最後に火入れを行うのが狭山茶の特徴です。最後に強い焙煎をして、しっかり乾燥させます。
-どうして強い焙煎を?
明治時代になって輸出の華型としてお茶と生糸が有名になったのですが、しっかりと乾燥してない物が流通してしまい、運んでいる途中に痛んでしまう事が多かったようです。
それを防ぐため最後に強く焙煎するようになったと言われています。今もその時の名残を大切にしています。
-火入れは味にも影響するのですか?
宮野もちろんです。最後に強く焙煎することで後味がさっぱりして香ばしくなります。渋み、苦味が強いお茶でも飲みやすくなりますね。
-コンベアは木でできているんですね。
宮野現在では生産されていない木製のコンベアです。今新しくコンベアを作る場合はステンレスである必要がありますが、この木のコンベアは昔から使っています。木の温かみを感じられるので気に入っています。壊れてしまったら替えがないので大事に使っていきたいですね。
-最後にお客様へのメッセージをお願いします。
キャンプの様々なシーンや一緒に行く人数に合わせて、色々なお茶の淹れ方や料理などに使えると思いますので、今回紹介した淹れ方などを参考にして、ぜひ狭山茶を楽しんでいただきたいですね。
〒350-1315 埼玉県狭山市北入曽25-2
Tel : 04-2959-3025
お問い合わせ : https://miyanoen.com/room/contact/
宮野園HP : https://miyanoen.com/